手首の痛みで来院 (40代 女性 主婦)

主訴
- 右手の親指・人差し指・中指にしびれと軽い痛み
- 夜間や朝方に悪化する
- PC作業が多く、マウス操作が長時間続く
- 整形外科では軽度の手根管症候群と診断され、手術は不要とのこと
初見・評価
姿勢分析:
- 頭部前方変位、巻き肩、猫背が顕著
- 右肩が前方に出ており、胸郭出口に負荷あり
神経学的検査:
- ファレンテスト陽性(手首を曲げた状態でしびれが増強)
- ティネル徴候軽度陽性(手首の正中神経部を叩くとしびれ)
- 頚椎の可動性制限(特にC5–C7あたり)
施術内容(週1回 × 6回)
1. 頚椎・胸椎のアジャストメント
- 特にC6・C7レベルに可動制限あり
- 神経根の出口圧迫を和らげるために調整
2. 胸郭出口症候群へのアプローチ
- 斜角筋、胸鎖乳突筋、肩甲挙筋の筋緊張を緩める
- 肩甲骨の可動性を改善(モビリゼーション)
3. 手関節のモビリゼーション
- 手根骨のアライメント調整
- 局所の循環改善と神経圧迫の軽減を目的
4. 筋膜リリースとストレッチ指導
- 前腕屈筋群、手根屈筋、胸筋群への筋膜リリース
- 自宅でできるストレッチやエルゴノミクス指導
経過
- 2週目(2回目):夜間のしびれが軽減、マウス操作時の違和感が減る
- 4週目(4回目):日中のしびれほぼ消失、姿勢改善も見られる
- 6週目(6回目):しびれ・痛みともに消失、自覚症状なし
- 自宅ストレッチを継続しつつ、月1回のメンテナンス施術へ移行
まとめ(考察)
- 手根管症候群は局所(手首)だけでなく、頚椎や肩周囲のバイオメカニクスも大きく関与します
- 神経の通り道全体(頚椎〜肩〜腕〜手)を評価・施術することが、カイロプラクティックの強み
- 手術不要な軽度〜中等度のケースでは、保存療法として有効なアプローチとなり得ます