慢性的な腰痛で来院 (40代 男性 会社員)

主訴

デスクワークが多く、慢性的な腰痛(特に午後から夕方にかけて悪化)。普段から胃がムカムカする。


検査・初見

1. 姿勢検査・可動域検査
  • 骨盤の後傾、腰椎の湾曲減少
  • 胸椎の湾曲減少(内臓疲弊)、胸椎の可動制限
  • 腰部起立筋の緊張過多
2. 触診・筋反射
  • 腸腰筋・腰方形筋の過緊張
  • 右側の肋骨下部(第9~11肋骨)に圧痛あり
  • 胸椎5番〜8番にかけて圧痛あり
3. 内臓疲弊の兆候(バイオフィードバック+問診)
  • 肝臓および副腎領域の圧痛
  • 朝起きづらく、コーヒーで無理やり目を覚ます習慣
  • コーヒーを1日5杯以上、朝食抜き、夜は遅めの食事が多く、アルコールも摂取
  • 食後に強い眠気、夜間に目が醒める
  • 下痢・便秘が交互に起こる(腸機能の不安定)
  • ストレスレベルは高い

施術

① 構造的アプローチ
  • 骨盤のアジャストメント(仙腸関節のモビリゼーション)
  • 胸椎(特にT5~T8)の可動性回復 → 肝臓・胃の神経支配領域への影響を考慮
  • 横隔膜リリース → 呼吸機能と内臓圧の正常化を図る
② 内臓マニュピレーション
  • 肝臓マニピュレーション(右肋弓下の緊張を緩和)
  • 小腸・大腸の軽いモビリゼーション(蠕動促進)
  • 腎臓下垂が疑われたため、腎臓リフト
③ 神経調整
  • 迷走神経刺激(上部頸椎へのソフトアジャスト)
  • 副腎疲労を考慮した交感神経の抑制(胸椎下部のアジャスト)

生活指導・栄養アドバイス

  • コーヒー摂取の制限(1日2杯まで)
  • 高タンパク・低糖質の食事を推奨
  • マグネシウムとビタミンのサプリメントを推奨(副腎サポート)
  • **ストレス緩和のための深呼吸**を毎朝・就寝前に推奨

経過と結果

  • 1週目:腰痛の軽減は軽度。内臓マニュピレーション後、眠りやすくなったと報告。
  • 2週目(週1回施術):腰痛が半減。午後の疲労感も軽減。
  • 5週目:腰痛はほぼ消失。朝の目覚めも改善。コーヒー依存がなくなった。

考察・まとめ

この事例では、腰痛の原因が単なる筋骨格的な問題だけでなく、「内臓疲弊(肝臓、副腎、腸)」に関連する神経的・反射的な影響によって引き起こされていた可能性が高い。
特に迷走神経や自律神経系へのアプローチを行うことで、回復力の底上げと痛みの慢性化予防ができた。